記憶術とは文字通り「記憶する技術」です。
けれども「怪しい」「嘘くさい」「詐欺じゃなの?」「インチキでしょ?」、そんな声が聞こえてきそうです。
けれども記憶術は、元々アカデミックで使われてきた歴史もある記憶のスキルだったりします。
記憶術は2500年前にギリシアで発明されています。
詩人のシモニデスが考案しています。天井崩落事故がきっかけで記憶術のプロトタイプを発明したといいます。「座の方法」「ローマン・ルーム法」といわれている記憶術ですね。
ちなみに興味深いことに、シモニデスが発明した元祖記憶術の原理は、その後2500年間も変わること無く現在も使い続けられています。
シモニデスが考案した記憶術は、弁論術に便利ということで、ローマのキケロらの弁論家が使い始めます。
弁論では、1時間以上に及ぶ演説を行いますが、その弁論内容を覚えておくために「記憶術」は重宝したといいます。
記憶術は、今で言うところの「プレゼン」のために使われ出したということですね。
その後、13世紀の中世の時代になってからは、キリスト教神学や神学を哲学化した「スコラ哲学」で記憶術が大活躍します。キリスト教神学を覚えるために記憶術が使われます。
この当時、列聖に名を連ねている(聖者・聖人と認められた)トマス・アクィナスも記憶術の使用を勧めていました。しかもアクティナス自身が記憶術を考案しています。
記憶術はれっきとした記憶の技術であることがおわかりいただけるかと思います。
さらに知の巨人ともいうべき哲学者ルネ・デカルトやフランシス・ベーコンも記憶術を勧めていました。
デカルトは「思索私記」という書で、シモニデス系の記憶術が有益であることを述べています。
ベーコンも、その著「学問の進歩」「森の森」において、想像の力(イメージ力)による記憶術の有用性を述べています。
このように記憶術は、弁論術での活用からスタートして、神学や学問の分野で使われていた記憶のためのスキルでした。
記憶術は「怪しい」「胡散臭い」「嘘っぽい」「詐欺じゃないの?」といったイメージは、まったく誤りなことが、歴史からおわかりかと思います。
記憶術に対するネガティブなイメージは、おそらく20世紀になってから登場したオーバーな広告の影響がありそうです。
で、記憶術といえば「場所法」です。
2500年前にギリシアのシモニデスが考案した記憶術こそ「場所法」です。当時は「座の方法」「ローマン・ルーム法」といっていましたが、現在では「場所法」と言っています。
興味深いことに、シモニデスが考案した場所法の原理は、現在でもまったく変わっていません。逆に言えば、記憶術の原理は普遍的といえます。
記憶術といえば「場所法」になりますが、記憶術には普遍的な原理があります。それは「映像イメージ」にして覚えるという原理です。
その原理とは、「映像イメージ化」して覚えていくというものです。
これが記憶術の原理です。
そうして「映像イメージ化した覚えたい物事」を、さまざまなテクニックをつかって、お互いを「接続」していきます。
これが記憶術の原理です。記憶術とは「覚えたい物事」を「映像イメージ化」することから可能になります。
では、実際に記憶術をやってみましょう。
では論より証拠、記憶術を実際にやってみましょう。記憶術の元祖であり、最高レベルのテクニックである「場所法」をやってみましょう。
で、場所法は、
このように行います。
では早速、場所法を実際に使ってみましょう。
で、場所法の解説では、覚えたいことを「イチゴ」「みかん」といったように、わりと覚えやすいものを事例にしているケースが多かったりします。
しかし当方のサイトでは、実践向けの場所法、つまり試験や日常生活に活かせる「本当の場所法」の使い方を、具体例を通してご説明します。
実践レベルですので、初めての人にとっては少し難しいやり方も含まれているかもしれません。けれども事例をご覧になれば、「これが場所法なんだ」というのがおわかりいただけるかと思います。
まず「覚えたいこと」ですね。具体例では14個用意します。初級レベル、中級レベル、上級レベルの3種類あります。
★初級レベル・・・具体的な物事
①自由の女神
②万里の長城
③富士山
④ソーセージ
⑤カレー
★中級レベル・・・やや難しい物事
⑥モナリザの絵
⑦舌
⑧お辞儀している人
⑨前ならえをしている人
⑩にわとりと牛
⑪落ち着いている鯛(たい)
★上級レベル・・・抽象的な物事
⑫契約書を持って「合っていない」と叫んでいるクレーマー
⑬対になった缶詰
⑭お金が減っていく様子
さあ、どうでしょうか?
結構難しいものもあります。
でも挑戦してみてください。
次に、記憶の保管庫となる「場所」を用意します。
これはどういうことかといえば、説明するよりも図を見たほうがわかりやすいですね。下の図の通りとなります。
おわかりですよね。
①ドア
②イス
③テーブル
④台所
⑤ガスレンジ
⑥冷蔵庫
⑦収納棚
⑧絵画
⑨ソファー
⑩テーブル
⑪窓
⑫カーテン
⑬観葉植物
⑭リビング
①ドアから始まって、⑭リビングまで14の場所(記憶の保管庫)があります。
これらの場所(記憶の保管庫)に、最初に「イメージ化した覚えたいこと」を、関連付けて記憶していきます。
では、どうやって関連付けるのでしょうか?
「覚えたいこと」と「記憶の保管庫(場所)」を関連付けて覚えていきますが、では、どのように行うのでしょうか?
関連付けのときも、同じように「映像イメージ」を使って関連付けていきます。
具体的に説明しますね。
★初級レベル
①「自由の女神」がドアに突き刺さっている(すげー!)
②「万里の長城」がイスからニョキニョキと湧いて出てくる(わお!)!
③「富士山」がテーブルを突き破って出ている(ひょえー)!
④「ソーセージ」が台所に突き刺さっている(ありえねー)!
⑤「カレー」がガスレンジに散乱している(きたねー)!
★中級レベル
⑥「モナリザの絵」が冷蔵庫に突き刺さっている!(怒られる-!)
⑦「舌」が収納棚から飛び出てウネウネとうごめいている(こわー)!
⑧「お辞儀している人」が絵画から飛び出てきて「ありがとー」と絶叫している
⑨「前ならえをしている人」達がソファーの上で整列している(こわっ!)
⑩「にわとりと牛」がテーブルの上で戦っている
⑪「落ち着いている鯛(たい)」がカーテンに噛みついている
★上級レベル
⑫「契約書を持って「合っていない」と叫んでいるクレーマー」が窓越しから窓を突き破って入ってきた
⑬「対になった缶詰」が観葉植物にぶらさがっている
⑭リビングにある「お金」がどんどん減っていく
このようにして覚えていきます。要領はおわかりいただけたのではないかと思います。
で、今行った場所法の具体例は、実は実践的な物事ばかりになっています。種明かししますと、このようになっています。
覚えたい物事のイメージ化 |
覚えたい物事
|
テクニックの解説
|
補足
|
|
---|---|---|---|---|
① |
自由の女神 |
アメリカ |
「アメリカ」を「自由の女神」に置き換える |
GDP世界1位 |
② |
万里の長城 |
中国 |
「中国」を「万里の長城」に置き換える |
GDP世界2位 |
③ |
富士山 |
日本 |
「日本」を「富士山」に置き換える |
GDP世界3位 |
④ |
ソーセージ |
ドイツ |
「ドイツ」を「ソーセージ」に置き換える |
GDP世界4位 |
⑤ |
カレー |
インド |
「インド」を「カレー」に置き換える |
GDP世界5位 |
⑥ |
モナリザの絵 |
レオナルド・ダ・ヴィンチ |
「ダヴィンチ」を「モナリザの絵」に置き換える |
人物名 |
⑦ |
舌 |
アインシュタイン |
「アシンシュタイン」が「舌」を出している写真から「舌」に置き換える
|
人物名 |
⑧ |
お辞儀している人 |
感謝 |
「感謝」という言葉を「お辞儀をしている人」に具体化 |
抽象的な言葉 |
⑨ |
前ならえをしている人 |
前向き |
「前向き」という言葉を「前ならえをする人」に置き換える |
抽象的な言葉 |
⑩ |
にわとりと牛 |
鶏口牛後(けいこう-ぎゅうご) |
「にわとり」と「牛」に置き換える |
抽象的な言葉(四字熟語) |
⑪ |
落ち着いている鯛(たい) |
泰然自若(たいぜん-じじゃく) |
「落ち着いている鯛」に置き換える |
抽象的な言葉(四字熟語) |
⑫ |
契約書を持って「合っていない」と叫んでいるクレーマー |
契約不適合責任 |
文言を分解して具体的にイメージ化 |
法律用語(民法) |
⑬ |
対になった缶詰 |
追完請求 |
ダジャレを使う |
法律用語(民法) |
⑭ |
お金が減っていく様子 |
代金減額請求 |
文言から連想する具体的なイメージ |
法律用語(民法) |
見出し |
◎
紹介文や説明文などを記入してください
|
○
紹介文や説明文などを記入してください
|
×
紹介文や説明文などを記入してください
|
△
紹介文や説明文などを記入してください
|
おわかりでしょうか?
「覚えたいことを映像イメージ化する」といっても、ストレートにイメージ化できるものばかりではありません。
事例でも取り上げたように、人名、四字熟語などの難しい言葉、抽象的な言葉、法律用語などの聞き慣れない言葉は、覚えにくいものです。
そこで、このようにイメージ化しにくい物事は、いったん別の何かに置き換えます。このテクニックを「置換法」といいます。で、この「置き換え」を巧みに使うことこそが、試験や日常生活に活かせる記憶術なんですね。
これらをいったん「覚えやすい具体的な物」に置き換えて、映像イメージで覚えていくのが「本当に使える場所法」になります。
ちなみに具体例で覚えた「①自由の女神、②万里の長城、③富士山、④ソーセージ、⑤カレー」はGDPの世界トップ5の「①アメリカ、②中国、③日本、④ドイツ、⑤インド」になっています。記憶術でデータを覚えることもできるという事例ですね。
ところで場所法の具体例には、中級レベル、上級レベルもありましたので、1回でできない・覚えられない方もいるかもしれませんね。
でも安心してください。
ここに紹介した場所法の事例には、レベルの高いやり方が含まれています。初めての人はできない場合もあります。しかし初めての人でも、2~3回行って、映像イメージ化して覚えることができれば大丈夫です。
もし、できない人がいても、イメージ化するトレーニングもありますので落胆しないでくださいね。
たとえば「宮地式脳トレ記憶術」には、イメージ化が苦手な人でもイメージ化ができるようになる最新のトレーニングシステムがあります。こちらに解説ページがあります。
⇒宮地式脳トレ記憶術
いかがでしょうか?
これが「場所法」といわれる記憶術です。2500年前に考案されて、現在でも使われている記憶のテクニックです。
覚えたい物事を映像イメージ化して、覚えるべき場所に、映像イメージで関連付けて覚えるテクニックです。人名、聞き慣れない言葉、覚えにくい物事、抽象的な言葉、数字ですら覚えることができます。
今の具体例でもおわかりの通り、記憶術で覚えると、鮮明に記憶に残り、思い出すことができます。順番を変えても思い出すことができます。だからこそ、記憶術は試験な日常生活に役立つわけですね。
ちなみに記憶術には「映像イメージ」を使わないやり方もあります。たとえば、
これらの記憶術です。
語呂合わせ、頭文字法、復唱法は、ほとんどの人が学生時代に行っていたはずです。一般的な記憶法ですからね。
けれども「ユダヤ式」はほとんど知られていません。が、記憶術2500年の歴史の中でも画期的な記憶術となっています。発案者は日本人の松平勝男氏という方です。非常に斬新であり、ユニークな記憶術となっています。
⇒ユダヤ式記憶術とは?
記憶術の原理そのものは2500年前のシモニデスが考案したときに完成しています。
しかしその後、記憶術をより使いやすくするためのテクニックが考案されてきています。そのテクニックは事例の中でも紹介しましたが、人名、聞き慣れない言葉、言い回しの難しい言葉、抽象的な言葉、数字、年号などの「覚えにくい物事」をも覚えるためのスキルです。
これらのテクニックは、11世紀~18世紀にかけて考案されています。
記憶術は歴史のある記憶の技術で、その集大成が「現代の記憶術」になります。
現代においては記憶術の教え方に革新的な進化がみられます。この背景にはインターネット・WEB技術の進歩があります。そのお陰で、最難関である「場所法」の完全取得も可能となっています。ですので、
こうしたお悩みや願いを持った人たち、老若男女関係無く、上手に教える記憶術講座も登場しています。
記憶術はアカデミックな分野で使われてきた記憶の技術です。現代は、誰もが習得できる環境が整っています。記憶力を高めたい、試験に合格したいという人は、記憶術を身につけることをおすすめいたします。
記憶術の集大成ともいうべき「宮地式脳トレ記憶術」はおすすめです。